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本番環境_商用利用前設計（Production - Pre-Commercial）#

概要#

商用利用前は、コスパを重視したマネージドサービスを活用し、実際のユーザーにサービスを提供します。各種利用規約に準拠しつつ、低コストで運用します。

アーキテクチャ図#

graph TD U[ユーザー] subgraph "Vercel" VWeb[Next.js Web<br>SSR + SPA] end subgraph "Fly.io" FAPI[NestJS API<br>Web Service] end subgraph "Supabase" SPG[PostgreSQL<br>メインDB] end subgraph "MongoDB Atlas" MA[MongoDB<br>ログDB] end subgraph "External Services" DD[Datadog<br>監視] SN[Sentry<br>エラートラッキング] end U --> VWeb VWeb --> FAPI FAPI --> SPG FAPI --> MA VWeb --> DD FAPI --> DD VWeb --> SN FAPI --> SN

サービス構成#

Web - Vercel#

選定理由:

  • Next.js最適化済みプラットフォーム
  • 自動CDN配信
  • Git連携による自動デプロイ
  • 無料枠で十分な性能

主要機能:

  • SSR（Server-Side Rendering）
  • 静的アセット配信
  • プレビューデプロイ
  • 環境変数管理
  • カスタムドメイン対応

料金:

  • Hobby プラン: $0/月
  • 商用利用不可
  • 100GB 帯域幅
  • Serverless Function実行時間: 100時間/月
  • Pro プラン: $20/月（商用可）

API - Fly.io#

選定理由:

  • Node.js/Dockerコンテナ完全対応
  • 無料枠で常時稼働可能（スリープなし）
  • グローバルエッジネットワーク
  • 低レイテンシー（Tokyo リージョン）

主要機能:

  • Dockerコンテナデプロイ
  • 自動スケーリング
  • カスタムドメイン対応
  • 環境変数管理（Secrets）
  • ヘルスチェック
  • 自動HTTPS
  • リージョン選択（Tokyo）

料金:

  • Free プラン: $0/月
  • $5/月 無料クレジット付与
  • 最大3台の共有CPU-1x、256MBマシン
  • スリープなし（常時稼働）
  • 100GB帯域幅/月
  • IPv6無料（IPv4は$2/月）

PostgreSQL - Supabase#

選定理由:

  • PostgreSQL完全互換
  • 自動バックアップ
  • 管理画面（テーブル管理、SQL実行）
  • 無料枠で十分な容量

主要機能:

  • PostgreSQL 17対応
  • 自動バックアップ（日次）
  • Row Level Security（RLS）
  • リアルタイムサブスクリプション
  • REST API自動生成（未使用）

料金:

  • Free プラン: $0/月
  • 500MB データベース容量
  • 1GB ファイルストレージ
  • 2GBデータ転送/月
  • 7日間のログ保持
  • Pro プラン: $25/月
  • 8GB データベース容量
  • 100GB ファイルストレージ
  • 50GB データ転送/月

MongoDB - MongoDB Atlas#

選定理由:

  • MongoDBマネージドサービス
  • 無料枠あり
  • クラスター管理が容易
  • 本番環境でも同じサービスを使用可能

主要機能:

  • MongoDB 8.0対応
  • 自動バックアップ
  • レプリカセット構成
  • 監視ダッシュボード

料金:

  • M0（Free）プラン: $0/月
  • 512MB ストレージ
  • 共有RAM
  • 共有vCPU
  • M10 プラン: $57/月〜
  • 10GB ストレージ
  • 2GB RAM

モニタリング#

Datadog#

  • メトリクス収集
  • APM（Application Performance Monitoring）
  • ログ集約
  • アラート設定

料金:

  • Free プラン: $0/月（1ホストまで）
  • Pro プラン: $15/ホスト/月

Sentry#

  • エラートラッキング
  • パフォーマンス監視
  • アラート通知
  • スタックトレース

料金:

  • Developer プラン: $0/月
  • 5,000 イベント/月
  • 1ユーザー
  • Team プラン: $26/月
  • 50,000 イベント/月

デプロイフロー#

Web（Vercel）#

graph LR A[Gitプッシュ] --> B[Vercel自動ビルド] B --> C[プレビューデプロイ] C --> D[mainマージ] D --> E[本番デプロイ]
  1. feature ブランチへプッシュ → プレビューデプロイ生成
  2. main ブランチへマージ → 自動本番デプロイ
  3. 環境変数は Vercel ダッシュボードで管理

API（Fly.io）#

graph LR A[Gitプッシュ] --> B[GitHub Actions] B --> C[Dockerイメージビルド] C --> D[Fly.ioデプロイ] D --> E[ヘルスチェック]
  1. main ブランチへプッシュ → GitHub Actions トリガー
  2. fly.toml でデプロイ設定管理
  3. 環境変数は flyctl secrets で管理
  4. 自動デプロイまたは手動デプロイ選択可能

環境変数管理#

Vercel#

# Vercel CLI
vercel env add <KEY> <VALUE> --environment production

# 主要な環境変数
NEXT_PUBLIC_API_URL=https://api.example.com
SENTRY_DSN=https://...
DATADOG_API_KEY=...

Fly.io#

# Fly.io Secrets（暗号化環境変数）
flyctl secrets set DATABASE_URL="postgresql://..."
flyctl secrets set MONGODB_URI="mongodb+srv://..."
flyctl secrets set DD_API_KEY="..."
flyctl secrets set SENTRY_DSN="..."

# fly.toml（非機密情報）
[env]
  NODE_ENV = "production"
  ENVIRONMENT = "preview"
  PORT = "8080"

Supabase#

  • Connection String: Supabaseダッシュボードから取得
  • 環境変数としてFly.ioへ設定

MongoDB Atlas#

  • Connection String: Atlasダッシュボードから取得
  • 環境変数としてFly.ioへ設定

セキュリティ#

認証・認可#

  • Supabase Auth（検討中）
  • JWT トークン認証

HTTPS/TLS#

  • Vercel: 自動HTTPS
  • Fly.io: 自動HTTPS
  • Supabase: 強制HTTPS
  • MongoDB Atlas: TLS 1.2以上

IPアクセス制限#

  • MongoDB Atlas: IPホワイトリスト設定
  • Supabase: 全IPからアクセス可能（RLS推奨）

シークレット管理#

  • 各サービスの環境変数機能を使用
  • GitHub Secretsは使用しない（直接サービスへ設定）

バックアップ#

PostgreSQL（Supabase）#

  • 自動日次バックアップ
  • 7日間保持（Freeプラン）
  • Point-in-Time Recovery（Proプラン以上）

MongoDB（Atlas）#

  • 自動スナップショット（M10以上）
  • オンデマンドスナップショット（手動）

スケーリング戦略#

Vercel#

  • 自動スケーリング
  • Edge Network による分散配信

Fly.io#

  • Free プラン: 垂直スケーリング（手動）
  • 水平スケーリング: 複数リージョンへのデプロイ可能
  • 自動スケーリング: マシン数の動的調整

データベース#

  • Supabase: プラン変更によるスケールアップ
  • MongoDB Atlas: クラスター層変更によるスケールアップ

コスト試算#

最小構成（開発初期）#

サービス プラン 月額
Vercel Hobby $0
Fly.io Free $0
Supabase Free $0
MongoDB Atlas M0 $0
Datadog Free $0
Sentry Developer $0
合計 $0

推奨構成（検証フェーズ）#

サービス プラン 月額
Vercel Pro $20
Fly.io Free（十分） $0
Supabase Free $0
MongoDB Atlas M0 $0
Datadog Pro（1ホスト） $15
Sentry Team $26
合計 $61

制限事項#

Vercel Hobby プラン#

  • 商用利用不可
  • チーム機能なし
  • カスタム認証制限

Fly.io Free プラン#

  • スリープなし（常時稼働）
  • メモリ256MB（共有CPU-1x）
  • $5/月の無料クレジット内で運用
  • 無料クレジット超過時は従量課金

Supabase Free プラン#

  • 500MB容量制限
  • 7日間のログ保持
  • Point-in-Time Recovery なし

MongoDB Atlas M0 プラン#

  • 512MBストレージ制限
  • 共有リソース（性能制限）
  • バックアップなし

商用利用時の注意事項#

Vercel利用規約#

Hobbyプラン（$0/月）:

  • 個人プロジェクト・非商用利用のみ
  • 商用利用は利用規約違反

商用利用する場合:

  • Proプラン以上が必須（$20/月〜）
  • 商用利用、チーム機能、カスタム認証が利用可能

推奨構成（商用利用時）#

初期ユーザー獲得フェーズでは、以下の構成を推奨します。

サービス プラン 月額
Vercel Pro $20
Fly.io Free $0
Supabase Free $0
MongoDB Atlas M0 $0
Sentry Developer $0
合計 $20

AWS環境への移行#

商用利用を本格化する際は、本番環境_商用利用後設計 に従ってAWS環境へ移行します。

移行タイミング#

以下のいずれかに該当する場合、AWS環境への移行を検討します。

  • 月間アクティブユーザーが1,000人を超える
  • 無料枠を超えて運用コストが$100/月を超える
  • 高可用性・スケーラビリティが必要になる
  • 独自ドメイン、カスタムSSL証明書が必要

移行手順#

  1. AWS環境構築: Terraformによる一括構築
  2. データエクスポート:
  3. Supabase → pg_dump
  4. MongoDB Atlas → mongodump
  5. データインポート:
  6. Aurora PostgreSQL ← pg_restore
  7. MongoDB Atlas（商用クラスター） ← mongorestore
  8. DNS切り替え: Route53による段階的なトラフィック移行
  9. 検証: カナリアリリース、A/Bテスト
  10. 完全移行: マネージドサービスの縮小

参考リンク#